LABO! Volume 17
2020如月小春プロジェクト参加作品
昭和2年7月24日未明、
「ぼんやりとした不安」
という言葉を残して、
芥川龍之介、 自死。
そして、平成5年、
作家の作品と人生を通して
如月小春が描いたのは、
この世界を再生する芸術の力だった。
日時
2020年12月
11日(金)14:30開演 19:30開演
12日(土)14:00開演 19:00開演
13日(日)13:00開演 18:00開演
開場は開演の30分前です。
コロナ対策のため、入場や受付に通常より時間がかかると思われます。
余裕を持って、早めにお越しくださいますようお願いいたします。
チケット
一般前売 4,000円
一般当日 4,500円
学生 2,500円(学生証提示/前売当日共)
日時指定・全席自由
整理券は開演の45分前から配布します。
チケット取り扱い
会場
日暮里 d-倉庫
〒116-0014 東京都荒川区東日暮里6-19-7
日暮里駅 JR南改札口より徒歩7分
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作
如月小春
構成・演出
堀内 仁
音楽・演奏
近藤達郎
Darie
出演
瀧川真澄
平川和宏
甲斐智堯
中村優子
高木愛香
牧野隆二
栗山辰徳
吉田真優
小池亮介
山口将太朗
小沼朝生
照明
黒尾芳昭
音響
青木タクヘイ
衣装
ひろたにはるこ
振付
中村優子
舞台監督
伊倉広徳
如月小春撮影
上牧 佑
衣装協力
市川ふみ
演出助手
五木田美空
制作協力
片桐久文
滝沢志穂
永田悦子
制作
LABO!
お父さん、なんで、書いてるの?
(2020如月小春BOOK「A・R〜芥川龍之介素描〜」より)
Q またまたJ氏にお聞きします、『A・R〜芥川龍之介素描〜』ですが、そもそもなぜ如月さんは芥川龍之介をテーマとして選んだのでしょうか。
J どうも、Jです。如月小春と芥川龍之介はとても似ています。二人とも東京生まれの東京育ち、内向的な幼少期から青年期を過ごしたこと、そして何よりも作家として、自意識を廃し、自己を追い詰め、精緻に磨き上げられた普遍的言語スタイルを追い求めました。それはまさに、「氷のように澄み渡った、神経の世界」だったのです。
Q それ、「或る阿呆の一生」の言葉、ですね。
J ええ。そして、二人とも人生半ばで多くのものをあとに遺して生涯を閉じました。
Q 遺されたわたしたちにとっては、生涯まで二人が重なって見える、ということですね。
J はい。物語は、「蜘蛛の糸」「羅生門」「杜子春」「地獄変」といった芥川の短編を劇中劇として挟みながら、芥川の生活と芸術の乖離、その苦悩を追いかけて、死の瞬間までを描きます。如月は、そこに自己の作家としての芸術論を重ねています。それから物語の背景として、大正デモクラシーから昭和の戦争へと至る暗い時代の推移も、戦後日本の現実的な社会問題として引き寄せて描いたのです。
Q まさに如月小春の〈芸術論〉であり〈歴史観〉というわけですね。
J 劇中にこんな台詞があります。芥川の妻が、子どもたちにお父さんの仕事の大切さを話す場面です。「生きていくのに、必要なの。皆に、必要なの。魂に必要なの。/きれいなもの。美しいもの。こわいもの。悲しいもの。雄々しいもの。いたいけなもの。狂おしいものが、必要なの。」
ここで、如月が芥川を通して語っているのは、芸術が持っている「世界を再生していく力」のことだと思います。そして、このように芸術の力をはっきりと如月が自分の戯曲のなかで語ったのはこの作品が最初で、最期になりました。
この戯曲のなかには、芥川の文章や言葉がたくさん引用されています。ですが、如月小春の魂によって選び抜かれたそれらは彼女自身の意思を含んだ彼女自身の言葉のようにわたくしには聞こえます。ぜひとも舞台を見て確かめてほしいのですが、物語のクライマックスには芥川龍之介と如月小春とがまるで重なって見える瞬間がやってくるんですよ!
Q 世界の真実を伝える者として、二人の作家が、同じ魂の形をしていたということなのでしょうね。
J 『A・R〜芥川龍之介素描〜』は如月小春が遺した魂の自伝であり、劇作の集大成なのです。如月小春の作劇方法と詩的言語スタイルのすべてが結晶した作品なのです。それをいま、2020年の不透明な時代と重ねつつ、どうしたら再創造できるかと、LABO!のメンバーと熱く語り合っているところです!
Q (笑)ますます楽しみになってきました!
お父さんの魂には、必要なの。書くことが、必要なの。