ソライロノハナ第7集
少女は、
流れ来ては去ってゆくモノと情報の洪水の中で、
ふくらんでゆく自分の欲望と身体が、
都市と一体であるのを感じた。
「孤独と悦楽。自己満足と自己放棄が
交互に訪れる、そういった状況の中で、
私は自分の身体を見失っていた。そして、
それは決して不快な感覚ではなかったのだ」
舞台は、
2019年を生きる俳優たちの身体と感性を糧に、
かつてこの都市に棲んでいた人々の風景を描く
時間旅行となるだろう。
そのとき、
如月小春が描き続けた
「全体性」と「個」のドラマ、
その底に光る眼差しの正しさとやさしさが
見えてくる。
日時
2019年10月
11日(金)14:30開演 19:30開演
12日(土)14:00開演 19:00開演
13日(日)15:00開演
開場は開演の20分前です。
開演後は演出の都合上、入場をお待ちいただく場合があります。
余裕をもってご来場ください。
チケット
一般前売 3,800円
一般当日 4,000円
学生 2,500円(学生証提示/前売当日共)
日時指定・全席自由・整理券は開演の1時間前から配布します。
チケット取り扱い
www.ilaboyou.com/book-ticket/
会場
西荻窪・遊空間がざびい
〒167-0042 東京都杉並区西荻北5-9-12そらの上
JR中央線・総武線西荻窪駅北口より北銀座通りを徒歩8分
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テキスト
如月小春
構成・演出
堀内 仁
音楽・演奏
近藤達郎
出演
瀧川真澄
熊谷知彦
高木愛香
桑原良太
牧野隆二
吉田真優
甲斐智堯
稲葉 真
声の出演
柳沢三千代
映像
武内秀光
衣装
ひろたにはるこ
照明
伊倉広徳
制作協力
片桐久文
制作補
星見華理奈
制作
LABO!
2020如月小春プロジェクトBOOKより
Q みなさん、こんばんは。今夜は自称・如月小春研究家のJ氏をお迎えして、今回のプロジェクトにおけるLABO!の演劇公演についてお話を伺いたいと思います。
J どうも、Jです。
Q まずはシリーズ第1弾『如月小春クロニクル』、これはどのような公演になるとお考えでしょうか。
J はい。わたくし自身が、演出家のJから聞いた情報では、どうやら、さまざまな如月小春戯曲からの抜粋テキストをもとに構成されたオムニバス作品になるようですね。おもに『ESCAPE』『MORAL』『ISLAND』など、NOISE時代の戯曲がメインになるようです。
Q 綺畸時代のものは入ってないんですか。
J 『家、世の果ての…』(以下「世の果て」)だけです。
しかし、この『世の果て』こそが構成全体の大切な骨格になっているんです。そもそも『如月小春クロニクル』というタイトル自体、ある日、演出家Jが『世の果て』を読んでいた際に受けたヴィジョンから始まったと聞いています。この『世の果て』は、暗闇の中で死んだようにうずくまっている男に、迷子の少女が声をかける場面から始まっていますが、この少女が如月小春だとすると、この男は誰なのか? 少女時代の如月が1950年代の東京で見かけた男だったのではないか? その男が時空を超えて、『世の果て』が書かれた1970年代の東京に浦島太郎のように帰ってきたとしたら、もう何もかも東京は変わってしまっていた、何もかも自分の知っている人も街もなくなっていた、つまり、その喪失感こそが如月小春という作家がそのはじまりに負ったテーマだったのではないか、というヴィジョンです。
Q 〈わたしは都市だ〉〈都市はわたしだ〉というのも如月さんのテーマの1つですね。
J はい。如月小春は1956年の東京に生まれ、高度経済成長のまっただなかに育っています。戦後の復興からオリンピックを経て東京が巨大都市へと変貌してゆく時期に、彼女自身が少女から大人へと成長したのです。東京そのものが彼女の心象であり、身体感覚なんですね。つまり、この感覚に、どこまで現代を生きる俳優たちの感性を重ねることができるかが今回の芝居のテーマです。そこで、如月小春のテキストのさまざまな時空を彷徨うタイムスリップのような物語、つまり「クロニクル」として構成しよう、そうすれば、如月が描き続けた「全体性」と「個」のドラマ、そしてその底に光るまなざしの正しさとやさしさとが見えてくるのではないか、そう、わたくしは考えたのです! あ、いや、演出家は考えたそうですよ。ははは(汗を拭く)。
Q まずは如月世界への導入編なんですね。楽しみです。どうもありがとうございました。