緊急事態宣言のため
会場のせんがわ劇場が施設使用の全面停止を決定し
公演中止となりました。
公演を楽しみにされていたお客様には心よりお詫び申し上げます。
購入されたチケットはすべて払い戻しいたします。
LABO! Volume 16
2020如月小春プロジェクト参加作品
2021年、世界がいまだかつてない状況のなか、
40年前、如月小春が書いたギリギリの声を聞け。
壁を越えたい! 他者と繋がりたい!
その圧倒的な熱量が、摂氏零度のイメージが、
僕らをANOTHERへ向かわせる。
日時
2021年 5月
7日(金)19:30開演
8日(土)13:00開演 17:00開演
9日(日)13:00開演 17:00開演
開場は開演の30分前です。
コロナ対策のため、入場や受付に通常より時間がかかると思われます。余裕を持ってお越しください。
チケット
一般前売 4,000円
一般当日 4,500円
学生 2,500円(学生証提示/前売当日共)
日時指定・全席自由
整理券は開演の45分前から配布します。
チケット取り扱い
(3月28日より発売)
会場
せんがわ劇場
https://www.sengawa-gekijo.jp/
〒182-0002 東京都調布市仙川町1-21-5
京王線仙川駅より 徒歩4分
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作
如月小春
構成・演出
堀内 仁
音楽・演奏
Darie
近藤達郎
出演
瀧川真澄
大窪 晶
甲斐智堯
中村優子
高木愛香
牧野隆二
栗山辰徳
西尾早智子
小池亮介
吉田真優
伊木哲朗
高橋真紀
五木田美空
尾崎真生
阿部真澄
片桐久文
照明
黒尾芳昭
音響
青木タクヘイ
衣装
ひろたにはるこ
振付
中村優子
舞台監督
伊倉広徳
舞台監督助手
伊倉浩子
如月小春撮影
上牧 佑
演出助手
五木田美空
制作協力
滝沢志穂
制作補
星見華理奈
協力
劇団SPAC/演劇集団円/プロダクション・タンク/tea for two
助成
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
制作
LABO!
越えられます!
きっと越えていけます!
これしきの壁じゃありませんか。
詩情あふれる文体と批評的精神が際立つ、如月小春〈劇団綺畸〉時代の作品群。
なかでも「ANOTHER」は、彼女の〈心の空間論〉をテーマとした傑作戯曲です。
都市社会のなかで絶望的に〈つながり〉を断たれている匿名の〈個〉たちが、
他者と繋がるために〈心〉の壁を超えようとする群衆劇。
はたして壁の向こうの「別の世界」はあるのか?
〈私〉とは別の「ANOTHER」はいるのか?
(2020如月小春BOOK「ANOTHER」より)
Q ふたたび、J氏にお越しいただきました。さて『ANOTHER』と言うのは「もうひとつの…」とか、「別の…」という意味だと思いますが、いったいどのようなお芝居なのでしょうか。
J どうも、Jです。まずは、如月小春の劇作活動全体について話させてください。
その活動は20年ほどなのですが、それを前期と後期に分けるとすると、劇作方法の違いから、劇団綺畸の6年間と、NOISEの14年間とに分けられます。
前期は、演出よりも劇作に注力した時期で、叙情的なイメージと重層的な世界観の作品が特徴です。総じて、台詞が過剰で、修飾語が多く、そこに唐十郎や野田秀樹の影響を指摘する研究者もいます。
それに対して後期は、劇作とともに演出にも一貫した方法を持ち込み、台詞はミニマムに切り詰め、演出においては身体性を重視し、普遍的で多義的な世界を目指しました。
Q 劇作活動の間に大きな転換点があったということですか。
J その通りです。しかし転換したのは方法であって、彼女のテーマは20年を通して変わることなく、常に一貫していたことが『如月小春クロニクル』の上演からも明らかにされています。
Q なるほど。で『ANOTHER』ですが……。
J 『ANOTHER』は、その前期の傑作の一つと言えるでしょう。
もう一つの代表作『家、世の果ての…』が如月小春の「心の時間論」を表現しているとすると、『ANOTHER』は「心の空間論」を表現している、というのは、わたくしの私論ですが、あながち間違いではないと自負しています。
つまりこういうことです。〈私〉の心に棲んでいるのは〈私〉だけだ。だとしたら、その〈私〉の「心の空間」が、他の誰かの「心の空間」とつながってたり、重なってたり、交わってたりするなんて、そんなこと、ナイーブに信じるなんてどうしてできるだろう。いやできやしない。〈私〉と〈他者=別の私〉の間には乗り越えられない〈壁〉が頑然と立っているのだ。これがこの作品のメインモチーフです。
Q 現代のコロナ禍の分断された社会とも共通するテーマですね。
J そうなのです。しかも群衆劇なのです。視野を広げれば、圧倒的な都市社会のなかには絶望的なまでに〈つながり〉を断たれている、匿名の〈個〉たちがいっぱいいる。『ANOTHER』は、それらが、あがき、苦しみ、〈心〉の壁を超えようとさまよう群衆劇なのです。
はたして〈私〉とは別の「他の誰か」はいるのか?
壁の向こうの「別の世界」はあるのか?
Q たいへん楽しみですね!
1980年~90年代に活躍した劇作家。同世代の作家に野田秀樹氏、渡辺えり氏、永井愛氏がいる。 「劇団綺畸」(東京女子大学と東京大学の学生劇団。夢の遊眠社とともに駒場小劇場で公演を行っていた)において作・演出を始める。のちに「NOISE」を主宰、独特の詩的言語と身体性を重んじる表現スタイル、音楽の生演奏、映像などとのコラボレーションから、さまざまな実験的舞台を生み出した。